血流とリンパ


血流

何十兆個もの細胞で出来ている私たちの身体。

その身体の生命を維持するために欠くことの出来ない成分「血液」。

その血液が身体の隅々の細胞までめぐる「血流」の働きはとても大切です。

 

血液の役割

血液は血球成分と血漿成分で構成されています。

血球成分には赤血球・白血球・血小板があり、血漿成分は血液から血球成分を取り除いた液性成分です。

 

血液の成分と主な役割

血球成分 赤血球 肺から取り込んだ酸素を全身に運ぶ
白血球 細菌やウイルスが侵入した時、殺菌や処理をする免疫機構を正常に保つ
血小板 血管の損傷部位を止血する
血漿成分 血漿

約90%が水分の液体で血球成分など栄養分を運搬したり、炭酸ガスや老廃物を排出する

血液の役割

①酸素や二酸化炭素を運ぶ

②栄養素を全身に運ぶ

③ホルモンや伝達因子を運ぶ

④体温の調整をする

⑤老廃物を回収する

⑥細菌やウイルスから防御する

⑦傷口を修復する

 

血液は私たちが呼吸によって肺に取り込んだ酸素を全身の細胞に運び、細胞から吐き出された二酸化炭素を受け取って戻ってきます。

また、血液は食事で摂取し胃で消化され腸で吸収された栄養素を全身に運んでいきます。そして、エネルギーとして利用されたあとの老廃物や代謝で出来た有害物質を回収して腎臓や肝臓に運んでいきます。

その他にホルモンの運搬や体温調節、外敵からの防御機構など、私たちの身体では血液が常に重要な役割を担っています。

血管と血流

血液を全身にめぐらせるための通り道が血管です。

血管は動脈・静脈・毛細血管があり、動脈は心臓から押し出される血液が流れ、静脈は心臓に戻る血液が流れています。毛細血管は動脈から分岐し全身の細胞に酸素と栄養素を運び、二酸化炭素と老廃物を回収して静脈に合流します。血液は心臓から動脈→毛細血管→静脈の順で流れていきます。

 

大切なのは血液が血管の中を滞りなく流れることで、それが血流です。

血流が悪くなると酸素や栄養素が身体の隅々の細胞まで行き渡りにくくなり、二酸化炭素や老廃物の回収不足のため蓄積されてしまうという悪循環に陥ります。細胞にとって必要なものを取り入れて不必要なものを排出するという活動を阻害されてしまいます。

 

血流は心臓のポンプ作用によって押し流されることと、身体の筋肉の伸縮による補助が必要です。筋肉は本来伸び縮みが自由に出来ることで正常に動き、その筋肉の伸縮の力がポンプ機能となり血流は促進されます。

しかし、姿勢の悪さ、運動不足などで縮んだまま固まってしまうと筋肉は硬くなり血流を促進させるポンプ機能も弱り、さらには血管を圧迫してしまいます。

また、疲労やストレスで交感神経が優位になったままの状態では、自律神経の働きにより血管を収縮する命令が発動され血流に制限がかかります。

血流が悪くなると身体にはさまざまな不調があらわれます。

リンパ

私たちの身体の循環器系は、心臓と血管からなる血液循環系とリンパ管とリンパ節からなるリンパ系があります。リンパとは、このリンパ管、リンパ節、そしてそこを流れるリンパ液を総称して「リンパ」と呼んでいます。

 

リンパの構成

【リンパ液】

血液は心臓から動脈を通り毛細血管の伝わり、毛細血管から血液中の血漿が染み出して、体内の末端の細胞にまで酸素と栄養を届けます。染み出した血漿は間質液となり全身の細胞はこの間質液に浸っています。

 

そして、間質液は細胞のエネルギー交換が終わった後、再び血管に回収されるのですが、その際に回収できなかった間質液はリンパ管に吸収されリンパ液となります。リンパ液には二酸化炭素や老廃物など不要なものが含まれています。


 

 

【リンパ管】

リンパ管は全身の末梢部分で細く網目上に広がる毛細リンパ管が起点です。リンパ管の壁は薄くて透過性が高いため、血管が回収できなかった大きな分子の老廃物や病原体も吸収することができます。

毛細リンパ管は、手足など末梢部分の起点から始まり静脈の隣に沿う形で走行し、より太いリンパ管に合流しながら、点在する浄化組織であるリンパ節を通過して主幹リンパ管へと繋がっていきます。

血管が体内を循環するのに対して、リンパ管の流れは単一方向にしか流れません。そして、最終的には鎖骨の上に位置する静脈に注いでいきます。

 

【リンパ節】

リンパ管には各所にリンパ節があって、ここにはリンパ球、マクロファージなど免疫細胞が集まっています。血管では白血球が異物から身体を守っているように、リンパ管ではリンパ球がこの役割を果たしていて、血液循環系への老廃物や病原体の侵入を防いでいます。

主なリンパ節群は、頚部・腋窩部(脇の下)・腹部・骨盤部・鼠径部に集中しています。

リンパの役割

リンパの役割は主にふたつ。それは免疫機能と排泄機能です。

 

【免疫機能】

免疫とは細菌やウイルスに対して白血球中の免疫細胞が働いて身体の健康を守ってくれる防衛システムです。

リンパ管を流れるリンパ球は白血球の一種で免疫に関わる細胞です。リンパ球はB細胞・T細胞・ナチュラルキラー細胞に分類することができます。

B細胞

侵入した抗原が危険であるかを判断する

抗体を作り放出して身体を守る

一度侵入した抗原の情報を記憶しておくことができる

T細胞

 ヘルパーT細胞はキラーT細胞・B細胞・マクロファージを活性化する

キラーT細胞はウイルスなどに感染してしまった細胞を壊す

制御性T細胞は働く細胞が過剰にならないように免疫異常を防止する

ナチュラルキラー細胞

殺傷能力が高い

全身を巡回してがん細胞やウイルスを見つけたら攻撃する

このようにリンパ球は、体外から侵入した細菌やウイルスに対し、抗体を放出したり、攻撃し排除したり、次回の侵入に備えて情報を記憶して身体を守っています。

【排泄機能】

細胞は血液から酸素や栄養素を取り込んでエネルギーを作り出す時に、二酸化炭素や水分、アンモニアなどの不要な物質を排出します。これらは約90%は血管に回収され、残りはリンパ管に回収されます。

リンパの流れはこれらの不要物を運搬し最終的に静脈に流れ込み、血液によって肺や肝臓、腎臓、膀胱などの臓器を経て体外へ排出されます。

 

リンパの流れが正常に機能していれば余分な水分や老廃物は体外へ排出されます。この流れが滞るとむくみや冷えなど身体の不調につながります。

リンパの流れは、歩行や運動による筋肉の収縮や弛緩によって生じる圧力や心臓のポンプ作用によって生まれますが、その流れはとても緩やかなものです。

血流改善のすすめ

東洋医学では血流が滞っている状態を瘀血(おけつ)と呼び、身体全体が酸欠と栄養不足になり新陳代謝が低下した状態で、さまざまな不調を引き起こすと考えます。そのため症状の改善を目指す上で「血流改善」が重要とされてます。

 

マッサージ指圧治療は、筋肉と筋膜にアプローチして過緊張状態の筋肉をほぐします。

姿勢の悪さ、運動不足などで縮んで硬くなった筋肉は「コリ」という状態を作ってしまいます。コリは硬くなった筋肉が血管を圧迫することから酸素不足となり、更に老廃物や発痛物質も流れないため、その部分に痛みを生じやすくなります。コリをマッサージでほぐし筋肉が柔らかくなることによって血流が改善されると共に痛みの緩和につながります。

また、身体の末端部分である足裏や手足の指などの毛細血管を丁寧に刺激していくことで、全身に血液を送り血流改善を行っていきます。

リンパマッサージは、リンパの流れにそくした正しい方向にやさしい力で行います。深い位置にあるリンパをマッサージする場合は、刺激を与えるため手指でほどよい圧力をかけて行います。

マッサージの手技のひとつである軽擦は、リラックス効果もあり自律神経を整えることも出来ます。

マッサージの他、ストレッチも加えながら関節可動域を広げていきます。関節可動域が広がると動きやすい状態になり、全身が活性化され血流やリンパの流れがが促進されます。

 

鍼治療は刺激した組織に白血球を誘導して障害を受けた細胞を活性化させます。

また鍼治療はマッサージの手技では届きにくい筋肉の深部のコリや痛みにまで直接アプローチ出来るため、筋肉を緩める効果が高く、圧迫されている血管を開放し血流を改善し発痛物質を排出させます。血管の動きが良くなることでリンパ管の動きも改善されリンパの流れが良くなります。

 

灸治療は自律神経を整え、身体の冷えの改善にも効果的です。

身体や心の緊張状態は交感神経を優位にし血管を収縮してしまうため、緊張を緩めることが必要です。灸治療の心地よい熱刺激は副交感神経を優位にし血管を拡張させます。血行が良くなることで身体の末梢部分からの代謝機能も上がりリンパの流れも促進します。

運動量や筋肉量が減ると身体の代謝機能が衰えてエネルギーを生産することが難しくなり、冷えの体質を作ってしまいます。手足やお腹、背中など全身のツボから灸の熱刺激を身体に入れることで弱って冷えている臓器や筋肉などの代謝を高めて血行を促進します。

 

血液とリンパが全身をめぐり、酸素と栄養素を運び、不要な二酸化炭素と老廃物を回収する。

この単純なサイクルを保つことが、私たちの身体を構成する細胞には必要不可欠です。

病気を予防する意識を高めて、自分の身体のメンテナンスを大切にしましょう。

 


お問合せ・ご予約はこちら


お電話でのお問合せは営業日10:00~20:00となっております。また、往診中はすぐに電話に出られない場合がございます。かけた状態でお待ち頂ければ携帯に転送されますので折返しご連絡差し上げます。LINE・メールでのお問合せ、ご予約は24時間受付ております。

03-5703-1022

お問合せ