パーキンソン病の運動症状と治療


無動・寡動(動きがにぶくなる)

身体の動きがにぶくなり、俊敏な動作が出来なくなってきます。何かをしようとしてもすぐには動けず、動き出すまでに時間がかかり、動作全体もゆっくりになり、やがて動きそのものが困難になっていきます。また、いくつかの動作を組み合わせて行うことも苦手になります。

歩行開始時に最初の一歩が踏み出せなくなる「すくみ足」、低い声でぼそぼそとした話し方になる「単調言語」、書く文字が小さくなる「小字症」などの症状が出てきます。


筋強剛(筋肉のこわばり)

通常は手足の力を抜いた状態で関節の曲げ伸ばしをしても何の抵抗もありませんが、パーキンソン病の患者さんの手足を持って関節を伸ばそうとすると、筋肉の緊張が強く感じられ、カクンカクンという断続的な抵抗があります。歯車がかみ合って回転する時の感じに似ていることから歯車現象とも呼ばれています。

尚、筋肉のこわばりはパーキンソン病の比較的初期から現れる症状で、手足のほかに首の関節などにもあらわれます。

そのほか、顔の筋肉がこわばり表情が乏しくなって瞬きの回数が減る「仮面様顔貌」、食べ物を飲み込み難くなる「嚥下困難」などの症状が出てきます。

 


静止時振戦(手足のふるえ)

寒い時や緊張して時に震えることがありますが、パーキンソン病の震えは静止時振戦と言って力を抜いてじっとしている時に震えが起こり、震えを意識したり身体を動かしたりすると軽減するのが特徴です。震えは横たわっていても起こりますが、眠ると止まります。

静止時振戦はパーキンソン病の初期症状として一番多い症状で、たくさんの患者さんにこの症状が見られます。字を書くのが不自由になったり、食事やコップの水を飲む動作も困難になります。

 

 


姿勢反射障害(姿勢の異常)

 

病状が進行すると姿勢にも異常があらわれます。立っている時は背中を丸めて、肘や膝を軽く曲げた前かがみの姿勢をとるようになり、身体を真っ直ぐ伸ばそうとすると後ろに倒れやすくなります。

自然と身体のバランスを保持することやバランスを崩した時に瞬時に立て直しが出来ないため、転倒などの危険が高まります。

歩く時も前かがみの姿勢は変わりません。そのため足が高く上がらずすり足となり早足で歩幅の狭い小刻みな歩行となります。そして、歩き始めの一歩が出にくくなる一方で、一旦歩き出すと停止をしたり方向転換をすることがうまく出来なくなり、前方に突進していく突進現象が見られるようになります。

姿勢の異常は歩行動作にも大きく影響を及ぼします。


運動症状の鍼治療

筋肉のこわばりは、筋肉が緊張して血管が収縮している状態です。そのためこわばった部位は血行が悪くなり、血流が低下した細胞は酸素欠乏で障害を受けます。結果、「発痛物質」を生産してしまい蓄積されていく。この負のサイクルが「痛みの悪循環」です。

 身体にあらわれる痛みの症状は、パーキンソン病の運動症状の影響が多く見られます。筋肉がこわばり手足などが動かしにくくなると発痛物質がたまったままになります。身体の動きも鈍くなり思うように動けなくなる傾向から運動不足に陥り、更に筋肉の柔軟性や筋力が失われます。

また、パーキンソン病による首曲がりや腰曲がりの症状が起きたり、立位や座位や歩行の姿勢保持が難しくなったりと、バランスの悪い状態での身体の使い方が多くなります。そのような状態が身体のゆがみを悪化させ筋肉の過緊張や脊椎の変形を招き、神経を圧迫して更なる痛みを生むこともあります。

 


この悪循環を鍼治療は断ち切っていきます。

鍼は刺激した組織を活性化し、それは信号ともなって中枢神経へ伝達され痛みを鎮静化します。また、なかなかマッサージなどの手技では触れることが難しい筋肉の深層部にあるこわばりに、鍼は直接アプローチすることが出来るため、的確に効率よく筋肉の緊張を緩めることが可能です。筋肉の緊張がほぐれると血流が改善されて発痛物質が排出されます。

 

これを更に促進するためにマッサージ治療も同時に行っていきます。


運動症状のマッサージ治療

マッサージ治療は全身状態を触って確認してから各部の筋緊張やこわばりを緩めていきます。身体の各部位はとても複雑に影響しあっているため、腰の痛みが首肩の痛みに影響していたり、膝の動きを固くしていたり、腰痛は腰だけを触っていてもほぐれなかったりします。全身を同時にみていくことは大切なのです。

筋肉の緊張と痛みを取りながら関節の可動域を広げて動きやすい身体に整えて行きます。加えて姿勢反射障害の症状も出来る限り改善していくことで、日常動作や歩行、体位変換など少しでも動きやすい身体作りを目指します。

 

まず動きやすい身体作りをしてから運動療法も行っています。体力の低下は更なる健康状態の悪化や転倒の危険性を高めます。運動療法を行うことで筋力、運動機能、心肺能力の維持を図ります。

 

パーキンソン病の治療は薬物療法が中心ですが、筋肉や関節が固まらないように治療を行い積極的に運動療法も行って行くことで日常生活も変わって行きます。



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