「布団に入ってもなかなか寝付けない」
「疲れているのに眠れない」
「夜中に何度も目が覚める」
こうした睡眠に関する悩みは本当に辛いものです。
不眠は日中のパフォーマンスの低下や体調不良を招くこともあり、看過できない症状です。
不眠の背景にはストレス、自律神経の乱れ、身体の疲労、生活リズムなど複雑な要因が絡んでいます。
鍼灸マッサージ治療はいろいろな角度からアプローチし、心身の改善を図る事ができます。
不眠には主に以下の4つのタイプがあります。
・入眠障害:寝つきが悪い
・中途覚醒:夜中に何度も目が覚める
・早朝覚醒:朝早く目が覚めてしまう
・熟睡障害:寝たのにスッキリしない
これらの症状によって日中に「だるさ」「集中力の低下」「イライラ」などが生じ生活に支障が出ている状態を不眠と呼びます。
睡眠中、体内では大切なメンテナンスが行われています。
| 脳のクリーニング | 脳脊髄液が脳細胞の間を通り、日中に溜まった老廃物を排出する。 |
| 記憶の整理 | 日中の出来事や学習内容を整理し、記憶として保存したり不要な情報を削除する。 |
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組織の修復 |
成長ホルモンが分泌され筋肉や肌のダメージを修復する。 |
| 免疫機能の強化 | 免疫細胞の働きを活性化させ病気への抵抗力を高める。 |
| 副交感神経優位 | 血圧が下がり心拍数が安定し心臓の負担が軽減される。 |
| 体温の変化 | 身体の内部の深部体温が下がり、脳や内臓の代謝活性を抑えてオーバーヒートを防ぐ。 |
睡眠を成立させるためには以下の3つの要素がバランスよく整っている必要があります。
| 体内時計 | 脳には24時間周期のリズムを刻む体内時計が備わっており、朝の光を浴びることでリセットされ、夜になると眠りのホルモンを分泌する |
| 睡眠圧 | 起きている時間や活動量に応じて脳に睡眠物質が蓄積され睡眠圧(眠気)が高まる。 |
| 自律神経 | 心身が興奮状態(交感神経優位)では眠りにつけない。リラックスの神経である副交感神経へスムーズにスイッチが切り替わる事が大事。 |
「疲れているのに眠れない」それは心身が過度な疲労状態にあるからです。
疲労は肉体的な負担によって起こる筋肉の疲労と、脳が過剰に活性し続けたり強いストレスなどで起こる脳の疲労があります。
筋肉の疲労
筋肉の使い過ぎでエネルギー(グリコーゲンなど)が枯渇したり、酸化による細胞のダメージ、老廃物の蓄積などが起こり、肉体的な疲労を生じます。
筋肉は自律神経を通じて「これ以上は危険だ!動かすな!」というアラートを炎症性サイトカインなどで脳に伝えます。ブレーキを踏んで休みを取れという警告です。
脳の疲労
ストレスや情報処理の過多により、脳がオーバーヒートした状態で熱がこもり、神経伝達にも不具合が生じます。
脳が疲弊するとアドレナリンやストレスホルモンを分泌し続け、筋肉の疲労を無視して活動を継続させてしまいます。筋肉からの炎症アラートも「痛み」や「ストレス」として認識し「休まず警戒せよ!」と指令を出し、アクセルを踏み続けてしまいます。
自律神経のバランスが崩れ、交感神経から副交感神経への切り替えができない状態です。それが睡眠を妨げることにつながります。
筋肉の慢性的なコリや過緊張は脳に対して「危険状態」としてアラートを送り続けます。肉体的に感じる痛みや疲れです。
マッサージの手技で身体全体のバランスをみながら過緊張になっている筋肉を的確に緩めていきます。血流を改善し身体に溜まった老廃物や発痛物質を排出できるように代謝を高めます。
仕事や日常生活における姿勢で、首、肩、背中に負担がかかる事が多くみられます。
・首、背中は自律神経が走行しているので、周囲の筋緊張を緩め血流を促します。
・肋骨周りや背中が硬くなると呼吸が浅くなるため、胸郭を広げることができるよう筋肉の緊張をとります。
深い呼吸ができると脳もリラックスモードに移行しやすくなります。
・手足の筋肉の緊張を解き毛細血管を広げることで末梢の血流を促します。
入眠時に身体内の熱が手足を通して放熱され、深部体温が下がる状態になります。
鍼治療は筋肉の深い部分のコリや緊張を緩める事が可能です。マッサージの手技では難しい部分を解消することができます。そして、自律神経や中枢である脳や内臓機能の働きに直接アプローチできるのが強みです。
過剰な交感神経を鎮める
鍼は生体反応を利用することで自律神経のスイッチを交感神経から強制的にリラックス側の副交感神経へと切り替えます。
ツボに鍼をうつことで皮膚や筋肉の下にある受容器(センサー)が刺激を脳に送ります。脳はこれに反応して優位になり過ぎていた交感神経を鎮め、副交感神経を優位にします。
脳の情報過多と炎症のリセット
首周りや頭部への鍼治療は脳への血流を安定させ、溜まった熱を効率よく逃がしオーバーヒートした神経活動を鎮めます。
体内の化学物質やホルモンの調整
鍼治療は刺激によってホルモンの分泌を促進したり抑制したりすることで、身体全体を調整します。
次のような働きがあります。
・鍼刺激で脳内でのセロトニンの分泌を促す。幸せホルモンのセロトニンが日中に十分分泌されて、夜にはそれが
睡眠ホルモンのメラトニンに作り替えられるため、睡眠には欠かせないホルモンです。
・鍼刺激は脳内でエンドルフィンなどの鎮静物質を放出させます。脳の過剰な興奮を鎮める鎮静作用があります。
・鍼刺激は脳の中枢に働きかけ副腎皮質から分泌されるコルチゾールを抑制します。コルチゾールというホルモン
は朝に分泌され身体を「活動モード」にする役割があります。過度な疲労やストレスにより夜になっても分泌さ
れている状態を抑制します。
当院ではマッサージの手技と鍼灸治療を用いて睡眠の悩みという難しい問題に取り組んでいます。
マッサージによる外側へのアプローチで筋肉をほぐし末梢までの血流を改善し、深い呼吸と放熱しやすい身体に整えます。鍼治療による内側へのアプローチで過剰に活性している脳の鎮静化やバランスを崩している自律神経の調整をし入眠時に交感神経から副交感神経へとスムーズに切り替えができる身体づくりを目指します。
