身体の状態を一定に保つためには、自律神経・内分泌系・免疫機構のバランスが重要で、これらは密接に関係を保ちながら働いているのです。
身体のほとんどの器官は、交感神経と副交感神経から構成される自律神経でコントロールされています。呼吸・血液循環・消化吸収・排泄・内分泌(ホルモン)など生命活動をつかさどっています。
自律神経の中枢は脳の中の視床下部にあり、神経の信号には、脳や脊髄から末端に向かう遠心性と末端から脳や脊髄に向かう求心性の方向があります。
交感神経は、脊髄を通じて背中側を実際に走行し、瞳孔・涙腺・心臓や血管・気管支・胃腸などの臓器である効果器とつながっています。
副交感神経は、脳から出て走行している経路は、瞳孔・涙腺など顔の効果器につながっています。そして、延髄から出て首の両側を走行する経路と仙骨から出て走行しています。
経路は、心臓や血管・気管支・胃腸などの臓器である効果器とつながっています。
効果器は、交感神経と副交感神経の双方の支配を受けているためバランスが大切です。交感神経は、活動時に優位になり、身体が緊張状態に対応した態勢をとるように働き、副交感神経は休息時に優位になり、身体が安息状態になるように働きます。
自律神経のバランスが崩れると、便秘・不眠・冷えを始め多岐に渡る身体の不調があらわれます
自律神経の走行経路
ホルモンは身体のさまざまな機能を調整する情報伝達因子です。内臓の機能を整えたり、成長・成熟を促したり、男性・女性の身体の機能に作用するなど、体内に100種類以上もあるホルモンはそれぞれが血管を循環して標的となる効果器に結合してその働きを維持します。身体が内外の環境変化を受けても各機能の働きが一定に保たれるように、脳からの指令を受けて効果器へ指令を伝えるメッセンジャーです。
ホルモンの分泌をつかさどる下垂体は、視床下部からの指令を受けて体内の各内分泌腺などが分泌するホルモンの量やタイミングをコントロールしています。
そして、ホルモンの作用は作用は効果器から視床下部や下垂体にフィードバックされる仕組みがあり、ホルモン量の促進や抑制を制御しています。
ホルモンの量やタイミングのバランスが崩れると、身体に不調がでたり傷病を招いたりします。
ホルモン分泌のコントロールをする下垂体は、自律神経の中枢である視床下部のすぐ下に位置して血管でつながっています。そのため、自律神経の活動と内分泌系は密接に関わっています。
〈例〉
免疫は細菌やウイルスに対して白血球中の免疫細胞が働いて身体の健康を守ってくれる防御システムです。免疫細胞は自然免疫と獲得免疫という2つのグループがあります。
自然免疫は、生まれつき人間に備わっている免疫で、顆粒球(好中球など3種)やマクロファージなど、細菌やウイルスを食べて除去する働きをもった免疫細胞で構成されています。
獲得免疫は、感染した病原体を記憶し、再度遭遇した時に効果的に排除できる仕組みで、B細胞・T細胞・NK細胞などリンパ球で構成され、抗体物質を出したり攻撃をする免疫細胞です。
病原体が侵入してくると、まず自然免疫が働き炎症を起こしたり食べて処理し、病原体の情報を獲得免疫に伝達します。B細胞は分化して抗体を大量に生産して病原体を封じ込め、T細胞は強力な殺傷能力を持ち病原体を攻撃します。攻撃のために増殖した免疫細胞は病原体を排除できると減少し、一部は記憶細胞となり次の侵入に備えます。このように身体は免疫機構によって守られています。
免疫機構を正常に維持するためには、マクロファージ・顆粒球・リンパ球の割合が重要になります。そして、この増減には自律神経のバランスが関わっています。
交感神経が優位な時には、体内でアドレナリンが放出され、アドレナリン受容体を膜上にもった顆粒球の比率が上昇します。副交感神経が優位な時には、アセチルコリンが放出され、アセチルコリン受容体を膜上にもったリンパ球の比率が上昇します。
バランスが崩れて顆粒球が増えると、活性酸素や酵素が健康な細胞まで破壊し、がんや胃潰瘍などを引き起こす恐れがあります。また、リンパ球が増えすぎると免疫が過剰に働きすぎてアレルギーや喘息などを引き起こします。
正常な免疫機構が保たれている比率