パーキンソン病との付き合い方


パーキンソン病は脳の中脳の黒質にあるドーパミン神経細胞が変質して、作られるドーパミンの量が減ってしまう病気です。

私たちが身体を動かそうとする時、脳の大脳皮質から筋肉に運動の指令が伝わります。この時、運動の調整を指令するのが神経伝達物質「ドーパミン」です。

パーキンソン病はドーパミンが十分に作られず減少してしまうため、運動の調節がうまくいかなくなり、手足が動かしにくいなど身体の動きに障害が出ます。

 

パーキンソン病治療の中心となるのは投薬治療です。

薬は不足している脳内のドーパミンの役割となるものを補充して、運動の指令が出せるような働きをします。

脳内で代謝されてドーパミンに代わり効果を発揮するL-ドパやドーパミンに似た作用を持つ物質でドーパミン受容体に結合し効果を発揮するドーパミンアゴニストなどを中心に複数の薬剤を組合わせて治療が行われます。

薬の量や種類は病状に合わせて決まっていきます。

投薬治療が良好に行われるよう、普段から患者さんご自身が自分の身体の様子や困っていることなど、主治医にきちんと伝えていく事が大切です。

【身体の構成】

パーキンソン病の闘病生活をしていく上で身体についての理解を深めていく事が必要です。

私たちの身体は骨、筋肉、神経、内臓で複雑に構成されています。

 

【骨】

骨は身体を支える働きのほか、脳や心臓など内臓の保護、骨髄で血液の元を生産する造血機能、カルシウムなど無機質の貯蔵機能の役割があります。

骨と骨をつなぐのは関節で、骨の接合部は軟骨や滑液に覆われて衝撃を和らげ、動きを滑らかにするよう構成されています。

 

【筋肉(骨格筋)】

筋肉には「身体を動かす・姿勢を保つ・熱を生み出す」という大きく3つの役割があります。

筋肉は収縮することで身体を動かしたり支えたりします。そして、筋肉が動くことで身体に熱が発生し身体を保持する熱源となります。

筋肉は脳から出る運動の指令で動きます。脳から出た指令は電気信号となって神経を通じて各部の筋肉へと伝わり筋肉を動かしています。

身体がスムーズに動くために筋肉には柔軟性が必要で、動かしやすいしなやかな筋肉を保つことが大切です。

 

【神経】

神経は大きく2つに分類され自分の意思でコントロールできる体性神経とコントロールできない自律神経があります。

体性神経は脳から筋肉(骨格筋)をつなぐもので、脳➜筋肉方向の運動神経と筋肉➜脳方向の感覚神経で構成されています。

自律神経は全自動であり交感神経と副交感神経で構成されています。心臓、消化器官、膀胱など各器官は交感神経と副交感神経の二重の支配を受けてバランスよく機能します。

 

【内臓】

内臓や血管などの各器官は不随意筋である心筋と平滑筋という筋肉で成り立ち、脳からの指令なく動いています。

食べ物をエネルギーに変換する消化器官、酸素を取り入れ二酸化炭素を排出する呼吸器官、血液を全身に送る循環器官、不要物を排除する泌尿器官、身体の働きの調整をする内分泌器官があります。

これらは自律神経に支配されバランスよく動きます。

【身体のメンテナンス】

私たち誰しもが「動くこと」と「休息すること」を組合わせて健康な身体づくりをしていく必要があります。

パーキンソン病は通常よりも身体のメンテナンスを意識的にする必要がある病気です。

パーキンソン病は運動の指令を出すドーパミンの欠乏で身体の動きに障害が発生するため、身体を動かす主体となる筋肉への影響が出ます。運動障害の症状があると筋肉を動かしにくくなり、動かしにくいから動かさない、そして筋力が低下し更に動かしにくくなるというスパイラルに陥ります。

動かす動作の他に姿勢の保持も難しくなり、バランスを崩した身体では過剰に負担がかかってしまう部位などが出てきてしまいます。

また、パーキンソン病は60歳以降から発病する方が多く、加齢による身体機能や心身の活力が低下し、体力低下や睡眠障害、自律神経の乱れなどが発生しやすい状況もあります。そのため、身体に起きている症状がパーキンソン病のせいなのか、それとも別の原因によるものなのかを判断することが大切です。原因に対処して軽減できる症状があるからです。

パーキンソン病治療薬はドーパミン不足を補充し運動の指令が出るように作用します。この指令を受け取る筋肉自体に筋力低下、筋緊張、疲労物質など老廃物の蓄積などがある場合、身体はうまく動きません。

また、パーキンソン病は自律神経にも影響を及ぼし、便秘、下痢、睡眠障害など非運動症状も招きます。運動症状だけでなく非運動症状に悩む方も多くいらっしゃいます。

 

進行性の難病であり長期の闘病生活を余儀なくされるため、パーキンソン病との付き合い方は、正しく症状を理解し治療をすることが大事です。患者さんご自身が自分の身体の様子をよく理解できるよう丁寧な説明をしております。薬の飲み方、主治医に伝えた方が良いことなど、いろいろなご相談を受けております。

当院では、動かしやすい柔軟な筋肉を保持するため、また自律神経のバランスを整えるため、マッサージ治療と鍼灸治療を行っています。治療については運動症状の治療、非運動症状の治療をご覧ください。


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