テレワークは、本来、通勤のストレスの軽減やライフワークバランス向上のために企業が導入を進めていました。しかし、感染症拡大を契機に急速に推し進められ、慣れないテレワークに健康面とメンタル面で悪影響を訴える人が多くいます。急速な変化と準備のなさが原因です。
①デスク環境
テレワークは基本的にデスクに向かってパソコン作業を行う仕事が中心です。職場では適したデスク環境が整えられていますが、ダイニングテーブルと椅子、ソファ、座卓などの家具は、使用目的が違うためデスクワークに適した広さや高さではありません。
②就業環境
就業は出社から始まり退社までの一日の業務に従事することですが、テレワークではまず通勤がなくなります。そして、会社にいる場合は会議や昼休みなど社内での移動があり、時間の使い方にメリハリもあります。テレワークでは、同じ場所で同じ姿勢で過ごしてしまい、それが時間のメリハリがないために長時間の過重労働になってしまう人がいます。
また、上司や同僚もいないため、孤独感や承認欲求が満たされないなどの不安を感じる人もいます。
③家庭環境
テレワークでは、家に複数の部屋があり最適な仕事部屋を独立して持つことが難しい方がほとんどです。家族が同じ空間にいる場合は家族への配慮や家族から受けるストレスも生じます。
また、テレビ・ダイニング・寝室など本来はくつろぐ空間で行うテレワークは、家庭と仕事の境界があいまいになり心身の緊張のオンオフが難しくなります。
【腰痛・肩こり・頭痛】
デスク環境が適切ではない場合、無理な姿勢でパソコン作業を続けることになります。必要以上に首が前傾になったり、腕を上げ過ぎたり、腰を曲げ続けたり、姿勢が悪い状態が長時間続きます。首が前傾すると肩への負担も増えますし、後頭部や側頭部も引っ張られてしまいます。各部の筋肉は緊張状態が続くため硬くなり血行が悪くなります。そして、肩こりや頭痛を引き起こします。
座りっぱなしで丸まった腰は筋肉も硬くなり、重だるさや痛みが生じます。また、床に座った状態では、脚や股関節に負担がかかるため、ゆがみや痛みが発生します。
【運動不足・体重増加】
通勤や社内外での歩行移動は定期的な運動の一環ですが、それがなくなったために運動不足や体重の増加がみられます。
運動不足は筋肉量の低下、心肺機能の低下にもつながります。
動かさない筋肉は固まってしまうため、腰痛や肩こりを生じます。そして、単純に「歩行」は気分転換というメンタルへの影響もあります。
体重の増加は運動不足に関係しますが、就業環境が変わって睡眠や食事、間食など生活リズムの変化も要因になります。また、出社して人と会わないために外見を気に留めなくなる傾向もあります。
【自律神経のバランスを崩す】
家庭と仕事の境界があいまいで心身の緊張のオンオフも切り替えが難しくなると、過緊張状態が続いたままで、交感神経が過剰に働いている状態になります。
身体面では、うまく眠れなくなったり、便秘や生理不順などの症状が発生します。精神面では、不安感やイライラ、意欲の低下などで悩む方がいます。
自律神経症状は多彩で各自によってさまざまです。自律神経のバランスを崩した状態が常習化すると「自律神経失調症」につながる可能性もあります。
心身が疲れている状態だという想定で施術を行っていきます。これは、「疲労」と「疲労感」は別のものとして解決していくことです。
疲労は心身の疲れ・消耗で根本的なものであり、疲労感は疲労を感覚として感じているものです。栄養ドリンク剤で解消されるのは、感覚としての疲労感だけで根本的な心身の疲労は回復しません。
適切ではない環境のため無理な姿勢で長時間の作業が続くと首・肩・背中・腰・脚は過緊張や圧迫された状態になります。各部の筋肉は硬くなり血行も悪く、これがコリや痛みになります。
マッサージ指圧治療は、筋肉と筋膜にアプローチして過緊張状態の筋肉をほぐします。ストレッチも加えて関節可動域も広げていきます。筋肉が緊張しているために圧迫されていた血管は、筋肉が柔らかくなることによって血流が改善されます。血液は細胞の栄養である酸素を運びます。関節可動域が広がると動きやすい状態になり、全身が活性化されていきます。身体の循環が改善されれば、老廃物や発痛物質が排出され痛みは緩和され疲労は回復します。
肩こりや腰痛は、各部の深層部の筋肉まで硬くなっている場合があります。鍼治療は深部の筋肉に直接アプローチできるため有効な治療法であり、特に慢性化してしまった疼痛には効果を発揮します。
自律神経症状でみられる不眠や便秘などには灸治療での改善も行っています。心身が緊張状態にありリラックスできない場合、脳が休まらずによく眠れなかったり、腸の蠕動運動が働かずに便秘症になったりします。灸治療は副交感神経の働きを高め、自律神経のバランスを整えていく力があります。
働き方の自由度をあげるはずのテレワークですが、変化の速度と環境作りが追いつけないために人の心身に負担がかかっています。個人や企業で環境改善への取組みが進む中、現状で心身に蓄積されてしまった「テレワーク疲れ」にも改善が必要です。
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